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「質問できる子」と「質問できない子」:その対応
塾で指導をしていると、必ずといっていいほど直面するのが「質問ができる生徒」と「質問ができない生徒」の違いによる対応の難しさです。
「わからないところは先生に質問しなさい」と言うのは簡単ですが、実際に積極的に質問できる生徒は一部の子に限られます。多くの子どもたちは、黙って問題に向かっているか、わからないまま止まってしまうのです。
質問ができる生徒は、すでに学力が高い場合が多いです。
そういう生徒たちは自分で調べられることは調べ、それでも解決できない部分だけを持ってきます。
だからこそ質問の中身が濃く、私たち指導者も「この子はここまで理解しているんだな」と把握することができます。
一方で、多くの生徒が悩むのは「質問できないこと」です。
性格的に人前で発言するのが苦手な子もいますが、それ以上に多いのは「自分がどこでつまずいているのかを把握できていない」子です。
理解できている部分と理解できていない部分の区別がつかないため、質問のしようがないのです。
だからこそ、講師である私は生徒のノートや答案を丁寧に確認します。
書かれている途中式や考え方の痕跡を読み取ることで、その子がどこで迷子になったのかが見えてきます。
そこを的確に指摘して解説することで、正しい理解へ導くことができます。
ただし、途中式やメモが残っていなければ、その子の思考を追うことはできません。
そういう場合は、一から一緒になって問題を解きます。一度解答への道筋を伴走してあげることで、何をすればよいかの思考の出発点が分かるようになるからです。
そして、きちんと「自分の考えを残す」大切さを伝えます。そしてその習慣が、学力向上の第一歩でもあるのです。
ちなみに、当塾では manabo というオンラインサービスを導入しています。主に、卒塾生たちが高校の勉強で分からない問題があったときに塾で使っています。
このサービスでは全国の偏差値上位の大学生が多く講師として登録されており、彼らに会話やチャットで質問できる仕組みです。
さて、特に東大生講師に多いのですが、「わかりません」と伝えると「では、こんな説明はどうかな?」とすぐに別の角度から解説してくれるのです。早慶レベルの子だと、自分がした説明の再説明に入りますが、東大生はそうでない子が多いのです。
まるで「どう伝えれば相手に届くのか」という正解を探すゲームをしているようで、その転換スピードの速さと説明のうまさは私自身にとっても非常に参考になります。
子どもたちに必要なのは「質問する力」と「説明を受け止める力」、そして私たち指導者には「伝え方を工夫する力」です。
この両方が揃ったとき、学習の理解はぐっと深まります。
「わからないから質問する」のは勇気がいることかもしれません。けれど、その小さな一歩を積み重ねていくことが学力向上につながります。
当塾では、その一歩を踏み出しやすい雰囲気づくりを大切にしています。
当塾で勉強する際は、遠慮なく講師に質問してください。